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段々と気になってきた、奈良市杉岡華邨書道美術館に伺ったら、たおやかで甘みのあるユーモアのような膨らみも感じられる書ばかりで、「こんな書もあるのか」と現代美術よりずっと、斬新に感じました。表面的ではなく、真にその人の個性が花開くと、誰でもエキセントリックな風合いを醸し出すんじゃないかと思っています。杉岡華邨さんの書からは、それを感じられて、大変うれしくなりました。

飾られた書の中に「吉野山ころびても花の中」という作品がありました。柳宗悦の歌として「吉野山 転びてもまた 花の中」が添えられていましたが、失敗を恐れるみなさんに、ぜひお伝えしたくなり、ここで取り上げています。

転んだら終わりとか、転んだら痛いとか、七転び八起きはしんどいとか、とかく「転ばないように」する方が、増えているように思います。日常でのその表れの一端は「ガイドブックを見て、失敗しないいい所を探してから、旅に行こう」や「みんなの評価を見てから、このお店で食事するかを決めよう」といった、実はみなさんを縮こまらせ狭めている態度に、よく表れているように思うのです。

でも「ころびても花の中」と思ったら、どうでしょうか?転ぶ前にそこに「花」がなくとも、優しさに出会えるなど「花」と出会えるのではないでしょうか?恐る恐る生きているみなさん「ころびても花の中」と思って、この先を生きてみませんか?

ちなみに、杉岡華邨さんの書は、「人生を愛する力をくれる」と感じる方もいらっしゃるだろうと思う書です。書を眺めるのではなく、全身で感じて、見えない「花」に気づいていける力を養われるのも、すばらしいでしょう。