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トラウマによるフラッシュバックという状態は、そもそも「考えないでおこう」が不可能な、記憶が勝手にやってきて、どこまでも侵入してくるという状態です。妄想と違って「考えないでおこう」ができないから、対処するためにはもう紛らわすしかなくなります。トラウマを持つ人が増えた阪神淡路大震災ではアルコール乱用が、東日本大震災ではDVが増えました。

トラウマはそうやって、現在までずっとその人に侵入し続けて、まるで今起きているかのように恐怖を味わわせてくれるから、そこに対処するために、特に幼少期の深刻なトラウマを抱える場合などは、恐怖に伴う内臓感覚や脳の特定の領域(=内側前頭前皮質・前帯状皮質・後帯状皮質・島・眼窩前頭前皮質)の活動を減少させることを、学んでしまいます。そうしないと、日常になどとてもいられないということです。

ただ、これらの領域は「自分は内側で何を感じているのか」「自分は誰なのか」「今はいってきた外的情報と自分の間にどんな関係があるか」といった感覚をつくったり評価していく部分に当たります。内側前頭前皮質のみが活動を減少させるだけでも、目的意識や生きる方向性を失ってしまうのですから、いかにこれが深刻であるか、みなさんにとって想像にかたくないと思います。

こうして、内部感覚と現実のつながりが失われると、身体的感覚と気持ちのつながりを自分で見いだせなくなるので、周りの多数から「怒ってる」と見えても「怒ってない!」と主張したり、別れ際に泣きながら本気で「きっと寒いからだわ」と言うような状態にも入ります。こうした状態にあると、正しい認識が難しく、また必要なものに手を伸ばすという正しい判断もできないので、周りは優しくサポートしてあげて下さい。