歯医者の麻酔のように

わたしの住む辺りは雪がふると、山が神隠しにあったように消えることがあります。

さて、歯医者で麻酔をされ、麻酔が完全に切れる前に軽くご飯を食べてしまったりして、思いっきり口の中をザクッと噛んでしまった経験はありませんか?

食べ物と唇の区別がうまくつかなくなっているのです。麻酔が完全に切れると口の中を深く噛んでしまったとやっと自覚できて、傷の深さに驚いたりします。

心がショックを経験すると、心でも同じようなことが起きるのです。「そろそろ麻酔が切れてきて、食べても大丈夫なんじゃない?」と状態を正確に把握できなかったのと同様に「ショックだったけど割と冷静に対処できた。もう大丈夫なんじゃない?」と、やはり状態を不正解に把握します。

このいわば麻酔が切れていない状態で、残業を頼まれたり、徹夜することになったり、急な案件が続いたりすると「むしろいつもより頑張れるかも」くらいに思ってしまいます。感覚が麻痺しているので疲れた自覚を持てなくなっているのです。ここで気づけないと、どうなるでしょうか?

コミュニケーションが雑になったり、ミスが多くなったりして、全体としてめんどくさくなって、いつも何かだるく感じます。そのうち、それまで気にならなかった音を気にするようになったり、前ならスルーしていたことにイラッとするようになったり、いつも不安になったりして、自分に集中することが難しくなっていきます。

こんな状態は多くの方にとって、経験ずみだったり、想像できる状態ではないかと思います。トラウマは、こんなふうにみんなのものなのです。