至らなさを受け止めてくれる物

目の前のことを対岸の火事とみなしては、風見鶏ばかりくるくる回るこの国ですが、みなさん年齢や既往歴関係なく、どうぞ「自分がすでにウィルスに感染している」という脳内設定をもって、行動なさって下さいね。

さて、先月はじめ、三年間つかった南部鉄瓶の手入れに、ようやく着手しました。(実際、鉄瓶の手入れはほぼ不要なのが前提です)まずは、空焚きしてしまったりして、白くなってしまった底の部分、次に内側にだいぶ広がった錆に着手しました。

錆自体は、人体に無害ですが、お湯に色がつくようになったので、錆止めのタンニン(お茶に含まれる)にお世話になろうと思いました。ポットに入りきれなかった湯をそのままにして忘れてしまうことが、錆の一因らしいので、今度からポットに入りきらない分はちゃんと捨てます。

ちなみに、我が家には揚げ物もできるドイツ製のヤカンもあります。注ぎ口がないのに、一切こぼれず、すばらしいんですが、鉄瓶であれ、どちらにしても味はおいしくなります。ただ、鉄瓶の方が早く沸き、おいしさの質にも違いがあります。

  1. 鉄瓶を火傷しない程度(10秒も要らない)に軽く温め、ティッシュペーパー(布が望ましい)に染み込ませたグレープシードオイル(椿油が望ましい)で、気になる部分にやさしく押し当てて馴染ませていきます。軽く拭いてはまた馴染ませと繰り返してみたら、汚れのようなものがたくさんとれ、白かったところは、自然なダークグレーにかわりました!これは、約2分で終わりました。
  2. さて、錆取りは少し時間を要します。水を少し入れ、亀の子タワシでサビをこすりよく濯ぐ(ここは略してもOK)→煎茶の出がらしをお茶パックに入れ→鉄瓶に水を八分目ほど入れて20分ほど煮詰め→火を止めお茶パックを入れたまま7~8時間おく→お茶パックは取り替えずにこの工程を繰り返す、ことをします。毎回出る真っ黒な水(鉄分+タンニンの化合した色)が、メンテナンスうまくいってるよの合図です。

正直、上の「1」のプロセスを終えただけで、時計を二年巻き戻したような美しさがよみがえり、キッチンで見かける度にびっくりしていました。「2」のプロセスは、計5回行いましたが、ちゃんと鉄瓶の中が黒くなっていく様に、感動しました。これからは、茶殻がある時に手軽に行っていくことにします。

さらに「これは鉄のフライパンにも使える!」とやってみたら、こちらもちゃんと黒くなって、若返りました。特に鉄瓶に錆が出たのは、わたしの至らなさもあったので、至らなさを受け止めてくれたものをケアすることで、わたし自身も楽になった感覚があります。

至らなさを受け止めてくれているもの(場所・人)は、人それぞれだと思います。好きではないけど何となく行く場所(仕事帰りのカフェやバー)や、好きではないけれど休んでいると寂しい隣の席の人は、至らなさを受け止めてくれる、あなたが思うよりずっと大事なあなたを支える環境の一部でしょう。そして、それが多いほど心の傷があるのは、言うまでもありません。オンラインWS「心の傷」の締め切りは、今夜21時です。